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チェロ、音楽、考え、演奏活動、日記、他
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現在、バッハの無伴奏組曲第1番を練習しています。
しかし、練習すればするほど、その音楽を考えれば考えるほど、
終わりのない迷路を進むような錯覚にとらわれます。

この、誰もが知っているほど有名で、
CD屋に行けば、たくさんの有名チェリストが録音しており、
様々な写譜から、学者方に研究されつくされた楽譜が出版されており、
専門書からエッセイまで多数書かれている作品。
・・・これほどの資料が揃っているのにも関わらず、
なぜ「これがバッハだ!」という結論が、未だ出ないのか。
これほど不思議なことはないと思います。

そもそも、この「バッハ」とは何なのでしょうか?
さまざまなバッハの研究、解釈、分析が行われていますが、
彼の音楽の本質は未だ謎のままだと思います。


先日、とある音楽学者のエッセイで、とても興味深いことが書いてありました。

《「バッハとは何か」を問うことは、少なくとも西洋音楽にとって本質的なものは何か、それを問うことにつながる。
つまり、西洋音楽を音楽として成り立たせている最も基本的なものが、バッハのうちには最も純粋な形で、最も豊かに存在しているのではないか。》

この文章は少々漠然と聞こえますが、すばらしく本質を見抜いていると思います。
演奏家、聴衆、歴史、宗教、そして作曲者バッハ自身をも超えて存在する、音楽の「何か」。
この「何か」をバッハの音楽の中で、ただ聴くことによって見えてくるのではないでしょうか。

また、カザルスは、バッハについて、このようなことを語っています。

《バッハの奇跡は他のいかなる芸術にも生じていない。
霊的な感激を人間の手近にある日常の行為の中に感じさせ、もっともはかない現実に永遠の翼を与える。
つまり神聖なものを人間化し、人間的なものを神聖化する。
これがバッハであり、その音楽はあらゆる時代を通じての最高の至純な瞬間である。》

このカザルスの言葉から、バッハから見える「何か」とは、「音楽の奇跡」だと、僕は思います。
音楽によって、人に霊的な感動を与える「何か」。
どんなに研究されても、とらえられない不思議な存在。
その「奇跡」が、皆の求めているバッハなのではないでしょうか?

かなり抽象的な考えだったかもしれませんでしたが、
この「音楽の奇跡」を求めて、頑張っていきたいと思います。
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コメント
共感しました
カザルスのいう、「人の日常の行為の中に霊的な感激を感じさせる」という言葉、初めて知りましたがとても感慨深い言葉です。

私も練習のまっ最中に、自分で弾いているのにも関わらず、おもわずその深い音楽世界に、弾きながら感嘆の涙がこみ上げてきてしまったことがあります。(自分の音に酔ったのではありませんよ 笑)
楽譜の中からバッハの深い音の精神世界が響いてきたという感じ初めての体験でした。

ここまで言葉に表すことが難しい音楽もなさそうですが、言葉ではすくいとり切れない「何か」がそこに含まれた音楽だからこそ、奇跡的で霊的に思えるのかもしれない、とちょっと思いました。

また更新楽しみにしています♪
【2009/11/13 01:06】 NAME[まりあ] WEBLINK[URL] EDIT[]
ありがとうございます。
>まりあ様
コメントありがとうございます。
バッハの音楽を的確な言葉で表すのは、ほぼ不可能に近いですね。
「バッハで始まり、バッハで終わる」という言葉があるぐらい、その音楽の深さと世界に、怖れと、そして敬意を表してしまいます。

まりあ様の、「楽譜の中からバッハの深い音の精神世界が響いてきた」を感じられることは、演奏家として最も幸せで貴重な瞬間だと思います。
その幸せな瞬間を求めて、演奏家は音楽の世界を探求するのでしょうね。

またの訪問、心よりお待ちしております。
【2009/11/13 12:43】 NAME[yuya] WEBLINK[] EDIT[]


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プロフィール
HN:
幸田有哉 (Yuya Koda)
性別:
男性
職業:
チェリスト
自己紹介:
5才よりチェロを始める。桐朋女子高等学校音楽科(共学)及び桐朋学園大学カレッジディプロムコース修了。ドイツに留学し、アウグスブルク音楽大学を経て、ベルリン藝術大学及び同大学院卒業。
第10回イタリア・アルジェント国際コンクール第2位入賞。第3回ポーランド・ドホミレツキ国際ソロチェロコンクールセミファイナリスト。
サイトウキネン「若い人のための室内楽勉強会」、小澤征爾音楽塾などに参加。ドイツ・コレルリ室内オーケストラと共演。ドイツ・ディプロム及びドイツ国家演奏家資格取得。
これまでにチェロを毛利伯郎、マルクス・ワーグナー、アレクサンドラ・ミュラー、マルクス・ニコシュに師事。
ダヴィド・ゲリンガス、トゥルス・スヴァーネ、マーティン・ルーアのマスタークラスを受講。
室内楽をリディア・ドゥブルスカヤ、マルクス・ベッカー、クシシトフ・ヴェグジン、パスカル・ドヴァイヨン、ハイメ・ミュラー、エカルト・ルンゲに師事。
2009年、日本に帰国。
2010年から名古屋フィルハーモニー交響楽団チェロ奏者。


<演奏会情報>

チケットのお問い合わせは
violoncellostory@yahoo.co.jpまで


2011.3.23.18:45
名古屋フランス音楽研究会特別公演「ピアノソロと室内楽の夕べ」
ピアノ:カザボン田島三保子、竹中勇記彦 ヴァイオリン:竹田千波 ヴィオラ:中村暢宏
曲目:ソロ作品、フォーレのピアノ四重奏曲
前売:3000円
当日:3500円

2011.4.2.19:00
「西風満紀子の音楽」
東京・門仲天井ホール
ギター:山田岳 ピアノ:伊藤憲孝 他
曲目:ギターとピアノとチェロのためのtri 他
前売:2000円
当日:2500円
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